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名古屋高等裁判所 平成6年(行コ)18号 判決

愛知県日進市浅田町平子四-三五四

(納税地)名古屋市中村区太閤四丁目一〇番八号

控訴人

夏目正

名古屋市中村区太閤三丁目四番一号

被控訴人

名古屋中村税務署長 中嶋一夫

右指定代理人

加藤裕

佐々木博美

井口眞治

木村晃英

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が昭和六二年七月九日付けで控訴人に対してした昭和六一年分所得税の更正処分が無効であることを確認する。

3  控訴費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

との判決を求めた。

二  被控訴人

控訴棄却の判決を求めた。

第二事案の概要

本件は、控訴人が昭和六一年分の所得税についてした確定申告に対し、被控訴人が昭和六二年七月九日付けで更正処分(以下「本件処分」という。)等をしたことにつき、控訴人が被控訴人に対し、本件処分が無効であることの確認を求めた事案である。原判決は、その後再更正処分が行われたため、本件処分の無効の確認を求める本件訴えには訴えの利益がないとして、本件訴えを却下した。

本件事案の概要は、次のとおり当審における控訴人の主張を付加するほか、原判決「事実及び理由」第二に記載のとおりであるから、これを引用する。

(控訴人の主張)

本件処分は、関庄平作成にかかる商品棚卸メモに基づいてされたものであるが、右メモには、〈1〉名古屋市中川区富田町大字長須賀字登川四七三の土地が記載されているが、右地名は不存在であること、〈2〉同区長良町四丁目一四三番地の一のほか三筆の土地が記載されているが、業務用固定資産があり、棚卸資産ではないこと、〈3〉同市天白区一ツ山五番地の九の土地が記載されているが、長男が居住の用に供している非業務用固定資産であり、棚卸資産ではないこと、〈4〉瀬戸市西山町二丁目一五番地の土地が記載されているが、被控訴人も棚卸資産ではないと認定したと推認されるとおり、棚卸資産と認定するのは失当であること、〈5〉同所二一番地の一の土地七七六平方メートルが記載されているが、右土地のうちには瀬戸市に寄付した公衆用道路及び公園敷地三筆が含まれていることなど、虚構の事実が記載されている。

したがって、被控訴人は、明らかに事実と矛盾する点について全く調査等をせずに本件処分をしたものであり、本件処分は無効である。

第三証拠関係

原審の証拠関係目録に記載のとおりであるから、これを引用する。

第四争点に対する判断

一  当裁判所も、本件訴えは訴えの利益がなく、不適法であるから、却下すべきものと判断する。その理由は、原判決「事実及び理由」第三の一に記載のとおりであるから、これを引用する。

二  よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行訴法七条、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 渡辺剛男 裁判官 菅英昇 裁判官 筏津順子)

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